発達の特性を有するお子様の中には、コミュニケーションや集団生活に苦手意識がついたり、勉強についていけなかったり、人間関係に悩んでしまうお子さんもいるかもしれません。特に、クラスメイトや先生など、人と人とのつながりがうまくいかないことで、さまざまな問題が生じる場合があります。
中学卒業後の進路には、たくさんの選択肢がありますが、そんな選択肢を知らなかったばかりに、発達の特性を有することを理由に高校進学をあきらめている、または躊躇しているのであれば、「通信制高校」を検討してみてはいかがでしょうか。
さまざまな事情で高校へ進学できなかった人や、高校を中退した人などが多く通う通信制高校の中には、発達障がいの生徒を受け入れる体制が、しっかり整っているところがあります。
人と話すことが少し苦手と感じる方、今までの勉強法が合わず勉強に遅れをとっている人に対して、学習はもちろん、生徒の気持ちに寄り添い個別に対応。その上で、得意な分野を引き出し、苦手なところもフォローしてくれる、全日制や定時制にはないサポート体制を取っている通信制高校が千葉県はもちろん、全国にあることを、ぜひこの機会に知っていただければと思います。
興学社高等学院では、子ども一人ひとりに合わせた支援を行うために「WISC-IV」という心理検査を実施。それぞれの特性を把握し、適切な指導・サポートが行えるように注力しています。
またSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)の授業では、卒業後の社会生活を円滑に進められるように、社会生活の礎となるコミュニケーションや技術・知識を学びます。お子さんの将来や進路を見据えた授業を受けられるのが特徴です。
興学社高等学院では基礎的な国数英に加えて、プログラミングから声優入門・イラストなどの個性的な授業まで、約90種類(※1)もの授業を実施。興味のある分野を学べるため、楽しみながら通学できるのがメリットの一つです。
基礎科目では、習熟度によって小中学校からの復習も可能。単位取得に関するフォローも行っており、高校卒業資格の取得率は令和2年度で98.9%(※2)となっています。それぞれの目標に合わせて、自分のペースで学べるのが興学社高等学院の魅力です。
発達障がいのお子さんでも通いやすい高校を選ぶためには、学習面・心理面・生活面それぞれのサポート体制をチェックすることが重要です。
こちらでは、千葉県内から通える通信制高校のうち、上述した3つのサポート体制が整っている学校を調査しました。学べるコースやサポートの内容を確認したうえで、お子さんの特性に合った学校を選ぶ参考にしてください。
千葉大宮高等学校は、通信制課程のみに対応しているという全国的にも珍しい公立高校です。学年制ではなく前期・後期の単位制を採用しており、公立なので授業料が安いのが大きな特徴です。
レポート課題・スクーリング・テストの3つを柱として学習を進め、最短3年間での卒業が可能です。自宅学習をメインに、年間約15回のスクーリングで卒業を目指します。
入学時と2月に一人ひとりの進路や進捗に合わせた学習計画を組成しており、学習を進める中で分からない部分があれば、登校や質問票でサポートを受けられます。
明聖高等学校の通信制過程は、年間約20日(月2回、金曜日)スクーリングを行う「通信コース」と、動画授業が中心の「Webコース」の2つのコースがあります。
千葉本校の通信コースは「個別学習室」を設置しており、少人数体制で相談・サポートを受けられるのがメリットです。Webコースはスマホやタブレットを活用した「動画視聴の授業+年間4日程度のスクーリング」スタイルで、オンライン学習で高校卒業が目指せます。Webコースのスクーリングは年間4日程度のため、自分のペースで学習を進めたい方にオススメです。
あずさ第一高等学校は野田市に本校を置く私立高校です。キャンパスは野田市のほかに千葉市・柏市の2か所があるため、近い方に通えるのがメリット。
コースは、週1~3または5日の中から通学頻度を選べる通学コース・月1回のレポート提出と年間13日のスクーリングを行う一般通信制スタイル・WEB授業を通して学習を進めるWEBコースがあります。通学コースでは、通常の基礎授業に加えてイラスト・ファッション・声優・ダンス・資格取得などのオリジナルコースを選べるのが特徴です。
中央国際高等学校は千葉県の夷隅郡御宿町に校舎を構える私立高校です。指定のサポート校へ週1回通学する「学習センターコース」と、自宅学習中心の「メディア学習コース」の2つの通信制スタイルから選べます。
スクーリングは御宿町での合宿形式。アクセスしやすい環境でありながら、自然と触れ合いながらの体験学習ができるのが特徴です。
生徒ひとり一人に担任が付き、カウンセラーも常駐しているので悩みや相談にも応じてくれます。
ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校は、「一般通信コース」「通学コース」「専門コース」「専門チャレンジコース」があります。総合学園ヒューマンアカデミーと連携しており、希望すればヘアメイク・声優・ゲーム・漫画・ITなどの専門授業を受けられます。
高校生で身に付けるべき学力だけでなく、将来の夢を見据えた多彩な専門技術の基礎を学べるのが魅力。担任制を採用しており、スクールカウンセラーも常駐しています。
ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校の
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ライフステージに応じた「新しい学び」の場を提供しているクラーク記念国際高等学校。全国各地にキャンパスを展開している広域通信制高等学校で、千葉市と柏市にキャンパスがあります。
毎日通学する「全日型コース」、オンライン学習と通学を組み合わせた「スマートスタディコース」、自宅学習中心の「通信制単位修得コース」から選べます。全教員が「学習心理支援カウンセラー」の資格を取得しているため、学習面だけでなく精神面のサポートにも対応できるのが特徴です。
クラーク記念国際高等学校の公式HPで
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翔洋学園高等学校は、通信単位制の広域通信制高等学校です。月に一度のレポート提出とスクーリング、テストで単位を取得する「一般通信制スタイル」と、WEB授業を通して学習を進める「Webキャンパス」の2タイプから選べます。
担任とカウンセラーが連携して生徒ひとり一人をサポート。基礎学習だけでなく、ヘアアーティスト・トリマー・エンジニアといった職業体験を通して将来を見据えることも可能です。保護者会では、保護者向けの進路相談や保護者同士のミーティングも行っているため、学校と連携を取りたい親御さんでも安心しやすいでしょう。
第一学院高等学校には大きく分けて「通学コース」と「通信コース」があり、自分に合ったスクールライフを選べます。通信コースはICTツールを活用した学習スタイルとなっており、スクーリングは年1回、茨城県または兵庫県の本校で行われます。
通学コースでは、登校頻度を週2日・週5日のいずれかを選択可能。希望する生徒は大学進学コースや専門コースにも通えるため、自分の興味のある分野を学びたい方におすすめです。
通信制高校のパイオニア的存在のNHK学院高等学校。「NHK高校講座」とインターネットを活用した学習管理システムを用いながら高校卒業を目指します。
東京の本校をはじめ、全国に約40ヶ所の連携校でスクーリングを実施。生徒ひとり一人に担任が付くだけでなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、進路相談員などによるサポート体制が整っているのが特徴です。
スクーリング会場ごとに保護者会や個別面談を実施しており、保護者とも連携をとっています。
山口県に本校のある松陰高等学校は、生徒の「個」を尊重した学習スタイルを基本としています。生徒たち自身が学問の面白さを実感し、進路や将来に向けて歩んでくれるようサポートしている学校です。
オンラインコースと通学コースがあり、通学頻度も3~5日/週または0~2日/週で選べるため、自分の学習ペースに合わせやすいのがメリット。eスポーツ・イラスト講座などの多彩な授業内容も魅力です。
千葉県内には5カ所の学習センターがあります。
通信制高校のスタイルは、学校によって実にさまざまです。
自宅学習をメインにしながら、月数回のスクーリングと試験を行うところ、週1~5の登校スタイルを推奨しているところ、高校の勉強以外に「調理師」などの専門的技術を身につけられるところもあります。
生まれつきの発育・発達の特性は、個人の個性であるので、有する特性によって、「得意分野」「苦手分野」はかわってきます。 一概にどの学習スタイルが良いかを一並びに決めることはできないと言えるでしょう。
だからこそ、選ぶ学校は発達障がいの知識や理解があるところや、多数の卒業実績があるところが望ましいのではないでしょうか。
カウンセラーが常駐していたり、発達障がいに対して専門知識を持ったスタッフがケアにあたり、個別にサポートしてくれる体制がある学校をおすすめします。
発達の特性を有する人が、通信制高校を選ぶ際は、以下のポイントを確認してください。
発達障がいは個性の一つ。感じ方・考え方も多少異なることもあるでしょう。だからこそ、生まれつきの身体・発育特性を持つお子さんに特化したサポートは必要不可欠。発達障がいの特性に応じたケアがないなら、普通校と変わりません。
発達障がいへの理解はもちろん、個人の学習レベルに合わせた指導や専門カウンセラーによるサポート、優れた部分を伸ばし才能を引き出すための専門課程など、学習面だけでなくさまざまなサポートにも力を入れてくれているかが重要です。
学校を選ぶ上で、カウンセラーがいるかというのは一番分かりやすい基準です。資格を取得したカウンセラーなら、専門知識に基づいた適切な対応をしてくれるでしょう。
中でも、発達障がいの特性を持つお子さまを積極的に受け入れしている学校に在籍するカウンセラーや先生は、生徒の気持ちに寄り添い、個人個人のソーシャルスキルを伸ばすプロフェッショナル。
勉強を教えてくれる教師ではカバーしきれない部分をフォローしてくれるので、保護者の方も安心して学校生活を見守ることができます。
ただしカウンセラーがいる学校であっても、常駐している学校と不定期の学校があるので、その点だけは注意してください。
生徒が多いと、どうしても1人1人の生徒に目が行き届かず、問題を把握できなかったり、表面的な言動や行動でしか生徒を判断できなくなってしまいます。
少人数制のクラスや、1対1での個別指導など、お子さんの状況を把握しやすい環境が整っているかどうかを確認しましょう。
発達障がいを持っている人は、ある特定のものに強い関心を示す特性があり、興味のあることに対しては驚くような集中力を見せたり、記憶力が飛び抜けて良かったりするという特徴があり、周囲の環境と、興味を示せる分野や授業を受けられるかが大切です。
これは、発達障がいの人だけが持つ才能で、普通の人が努力しても得られるものではありません。ただし、その才能が伸びるのか、ただの特徴で終わってしまうのかは、周囲の環境と、興味を示せる分野や授業を受けられるかによるのです。
学校選びの際は、こうした点を考慮して、授業の選択肢がある学校を選んであげましょう。
発達障がいという特性を持っていても、いずれは社会にでて、自分で生活をしていくはずです。そのためには、学校がサポートできる間に、自立できる力を身に着ける必要があります。
発達障がいという特性をもっていると、時にはうまく自分の想いや考えを表現できずもどかしい想いをしたり、生活スタイルも少し他の人とは違う場合もあることでしょう。
SST(社会生活技能訓練)やライフプランなどの授業がある学校なら、生きる上で必要な生活スキルを身につけられるので安心です。
「(前略)先生方は、とても親身に接してくれ、身体の不調もあり毎日登校はできませんでしたが、遅刻(午後から)登校でも明るく元気に迎えてくれた先生方に感謝しております。」
「(前略)中学の時はなんだったんだろうと思うくらい、友達が出来たり学校生活を楽しんでいるようでした。(後略)」
「(前略)高校生活では、テニス部に所属し、それをきっかけに友だちもたくさんできました。どこまで部活動を続けられるか不安でしたが、継続的に取り組むことができ、本当に嬉しかったです。時にはつらいこともあったようでしたが、その時は1回折れても自分で立ち上がれる力を身につけていました。(後略)」
「(前略)定期的に茶話会があったり、勉強会があったりと、学年に関係なく保護者同士の交流ができます。(後略)」
「(前略)先生や仲間のみなさんのおかげで、息子は充実した高校生活を過ごすことができたように思います。
入学してすぐに入ったフットサルでの様々な活動は、全日制高校の部活動を離れてからの息子にとって、とても思い出深い経験になったようです。(後略)」
「とても良い!子供も毎日生き生きしています」
「(前略)この学校の先生は生徒一人ひとりの良い所を見つけ、気づかせてくれます。個性を大切にしてくれるので、自分らしく伸び伸び過ごせるようです。(後略)」
「(前略)子どもの目線に立った声かけ、通常の高校ではあり得ない、マイコーチと生徒との関係。マイコーチの方々に導かれながら娘は見違えるような成長をとげ、私は娘のお陰で少し成長した親として、卒業式を迎えることができました。」
発達の特性を有するお子さんが、社会に適応し、自立した生活を送れるようになるかどうかは、周囲の大人の理解や関心の持ち方が重要なポイント。お子さんにしかない才能を見いだし、伸ばしてあげるためにも、発達障がいへの理解、サポート体制の整った学校を選んであげてください。
好きなことを
学びたい
学習スタイルを
選びたい
在宅中もサポート
してほしい
※2023年4月時点で、千葉の34校を対象に、卒業率が公式HPに記載されているスクール上位5校をピックアップし、以下の基準で選定。
興学社高等学院 カリキュラム数が最多。SST(ソーシャルスキルトレーニング)で生徒をサポート
鹿島学園高等学校 学習スタイル最多、全国にキャンパスを展開しており、スクール数が最多
トライ式高等学院 千葉 受験対策専門のプロ講師がマンツーマンで指導