「黒板をノートに写し終わらない」「漢字を何度練習しても書けない」「言いたいことはあるのに作文が書けない」。こうした困りごとが続く場合、書字障害(ディスグラフィア)の可能性があります。
書くことは、授業のノート、定期テスト、通信制高校のレポートなど、学校生活のあらゆる場面に関わります。この記事では、書字障害の特徴と、「手で書く」以外の学び方、高校選びのポイントを解説します。
書字障害とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、文字を正しく書くことや、文章を組み立てて書くことに強い困難がある状態です。文部科学省が示す学習障害の「聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する」のうち、「書く」に困難が集中するタイプです。
医学的な診断基準(DSM-5)では「限局性学習症」のうち「書字表出の障害」にあたり、対象には文字の書きだけでなく、文法や句読点、段落の組み立てといった「文章を書く力」も含まれます。
書字障害の困りごとは、大きく2つに分けられます。どちらが中心かによって、効果的な支援も変わります。
| つまずき | 具体的な様子 | 効果を期待できる支援の例 |
|---|---|---|
| 文字を書く | 文字の形や大きさが整わない、マス目からはみ出す、鏡文字になる、漢字の点や線が多い・足りない、書くのに時間がかかり素早く疲れる | キーボード・音声入力、板書の撮影やプリント配布、解答欄の拡大 |
| 文章を組み立てる | 助詞「は/わ」「を/お」の誤りが多い、句読点が打てない、話せるのに作文にできない、段落の順番がばらばらになる | 書く前に口頭で話す、構成メモやテンプレートを使う、書く量を調整する |
なお、手先の不器用さ(発達性協調運動症)が書くことの苦手さの背景にある場合もあり、学習障害と重なって現れることもあります。筆圧が極端に強い(弱い)、鉄棒や縄跳びも苦手、といった様子があれば、あわせて相談しましょう。
| 時期 | 見られやすいサイン |
|---|---|
| 小学校低学年 | ひらがなの形がとれない/「わ」と「ね」など似た文字を書き間違える/小さい「ゃ・っ」を抜かす |
| 小学校高学年 | 漢字のへんとつくりを入れ替える/板書を写しきれない/作文や日記が極端に短い |
| 中学・高校 | ノートをとると先生の話が頭に入らない/記述式テストで大きく失点する/英単語のスペルが覚えられない/レポートや小論文に著しく時間がかかる |
書くことに精一杯で、授業の内容を理解する余裕がなくなっているケースも少なくありません。「書けない」ことが、得意な科目の成績まで下げてしまうことがある点に注意が必要です。
読むことに困難があると、文字と音の対応が定着しにくく、書くことにも影響が出ます。そのため、書字障害は読字障害とあわせて「読み書き障害」として現れることが多くあります。一方で、読むことはできても書くことだけが苦手というケースもあります。
読むことの困難については、読字障害(ディスレクシア)とはで詳しく解説しています。
千葉県内では、千葉県発達障害者支援センター(CAS)(043-227-8557、東葛飾分室 04-7165-2515、千葉市在住の方は千葉市発達障害者支援センター 043-303-6088)が学習障害のある本人と家族の相談を受け付けています(2026年11月5日確認)。
文部科学省の報告でも、書くことが特に難しい場合にはワープロやコンピュータなど本人が使いやすい機器を併用することが効果的とされています。一人一台端末が普及した今、次のような方法が現実的になっています。
試験時間の延長、解答用紙の拡大、記述量の少ない解答方法などが考えられます。大学入試では、発達障害のある受験生に対して「チェック解答」(マークを塗りつぶす代わりに番号にチェックし、試験後に監督者が転記する方法)や試験時間の延長などを配慮例として挙げる大学もあり、個別入試でPCや音声入力による解答を認めた実績を公表している大学もあります。
2024年4月からは、私立学校を含む事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられています。配慮を受けた実績は入試での申請にもつながるため、中学・高校のうちから学校と相談しておくと安心です。高校受験の準備は学習障害のあるお子さんが高校受験をする際に大切なポイントもご覧ください。
通信制高校では、レポート(添削課題)の提出が単位修得の柱になります。そのため書字障害のあるお子さんにとっては、「レポートをどう書くか」が学校選びの大きなポイントです。通信制高校の学習の仕組みは通信制高校ってどんなところ?で解説しています。
実技中心の授業が多い技能連携校は、「書く」以外の力で成果を示しやすい環境です。
A. 字の上手下手だけでは判断できません。練習しても誤りが続く、書くことで学習に大きな支障が出ている、といった状態が続く場合は専門機関に相談しましょう。
A. 手書きの練習と、機器を使って学ぶことは両立できます。大切なのは、「書く」ことで学ぶ内容そのものが届かなくならないようにすることです。
A. 英語はつづりと音の対応が複雑なため、中学以降に初めて困難が目立つことがあります。読みの特性も含めて相談してみてください。
書字障害は「文字を書く」「文章を組み立てる」ことに困難がある特性です。キーボードや音声入力、板書の撮影などを上手に使えば、本来の理解力や表現力を発揮できます。レポートの提出方法や試験での配慮を確認し、お子さんが無理なく学べる学校を選びましょう。
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※2023年4月時点で、千葉の34校を対象に、卒業率が公式HPに記載されているスクール上位5校をピックアップし、以下の基準で選定。
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